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2013年6月13日 (木)

映画「天使の分け前」

 

angel's share

イギリス

2012

2013年4月公開

劇場鑑賞

ケン・ローチ監督の最新作。今回はコメディということで楽しみにして観に行ってきました。

舞台はスコットランド。主人公ロビーは恋人との間に子供ができ、彼女と結婚し真面目に働こうと思うが、仕事は見つからず、彼女の父親からも結婚を反対されていた。暴力事件を起こし、刑務所に行く代わりに社会奉仕活動に参加することになったロビーは、指導員のハリーからウィスキーの魅力を教えてもらい、特別なテイスティングの才能を開花させる。そんな折、100万ポンドの値打ちがあるという高級ウィスキーがオークションに出されることを知ったロビーは奉仕活動の仲間たちと共に、人生の再起をかけて、とある作戦を決行することになり・・・。

ローチ監督のコメディ、温かな笑いが心地よい素敵な作品でした。なにより今回のケン・ローチは優しかった!

この映画だけを単独で観たら、倫理的に許せないという人もいるとは思うのだけれど、これまでのローチ監督の作品を考えると、こういうハッピーエンドを用意してくれたことに、何とも言えない嬉しさがこみ上げる作品でした。

過去のローチ作品では、どんなに真面目に頑張っても負の歯車から抜け出すことができなくて、仕方なく法を犯し、その結果ますます取り返しのつかない状況に追い込まれてしまう主人公たちが描かれてきたわけで、今回も「Sweet Sixteen」などと同様にただひたすら苦しくて辛いラストにすることもできたのだとは思うけれど、この上なく優しい結末を用意してくれたことがただただ嬉しかったです。

そして、この映画で描かれることを考えると、最底辺のところで必死に生きている者たちには、法を犯すような形でしか、「普通の幸せ」を手にすることができないのが社会の現実であると訴えているようにも感じられ、楽しい映画ではあるけれど、ローチ監督の社会を見つめるまなざしは相変わらず厳しいように感じました。

終盤に、結構衝撃的なできごとがあるのだけれど、その瞬間、それまで静かだった劇場で一斉に「うわぁ」とか「バカ!」、「えー!」などといった声が上がって、劇場全体での一体感を感じられたのが面白かったです。

このような素晴らしい作品を最終上映作品に選んでくれた銀座テアトルシネマさん、今まで本当にどうもありがとうございました。ガーデンシネマとか良い作品を選んで上映する映画館がどんどんなくなっていくのは寂しい限りです。

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