映画・テレビ

2013年6月13日 (木)

映画「天使の分け前」

 

angel's share

イギリス

2012

2013年4月公開

劇場鑑賞

ケン・ローチ監督の最新作。今回はコメディということで楽しみにして観に行ってきました。

舞台はスコットランド。主人公ロビーは恋人との間に子供ができ、彼女と結婚し真面目に働こうと思うが、仕事は見つからず、彼女の父親からも結婚を反対されていた。暴力事件を起こし、刑務所に行く代わりに社会奉仕活動に参加することになったロビーは、指導員のハリーからウィスキーの魅力を教えてもらい、特別なテイスティングの才能を開花させる。そんな折、100万ポンドの値打ちがあるという高級ウィスキーがオークションに出されることを知ったロビーは奉仕活動の仲間たちと共に、人生の再起をかけて、とある作戦を決行することになり・・・。

ローチ監督のコメディ、温かな笑いが心地よい素敵な作品でした。なにより今回のケン・ローチは優しかった!

この映画だけを単独で観たら、倫理的に許せないという人もいるとは思うのだけれど、これまでのローチ監督の作品を考えると、こういうハッピーエンドを用意してくれたことに、何とも言えない嬉しさがこみ上げる作品でした。

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2013年5月29日 (水)

映画「屋根裏部屋のマリアたち」

屋根裏部屋のマリアたち [DVD]

Les Femmes du 6ème étage

フランス

2010

2012年7月公開

DVD鑑賞

評判の良いフランスのコメディにハズレなしなので楽しみにして鑑賞しました。

1960年代のパリ、株の仲買人をする資産家のジャン=ルイは妻が新しく雇ったスペイン人のメイドマリアのことを気に入り、やがて同じアパートの屋根裏部屋に暮らすスペイン人のメイドたちと交流をするようになる。彼の様子がいつもと違うことに気付いた妻はジャン=ルイが未亡人と浮気をしているのではないかと疑うようになり・・・。

邦題が「マリアたち」と複数形になっているのがポイントですね。主人公とマリアの関係も確かに描かれていくけれど、マリアだけでなく、メイドたちみんなとの交流のほうがこの作品では重要な要素でした。

これまで生まれ育った家で都会暮らししか知らずに硬い世界で生きてきた男が、故郷スペインを離れて出稼ぎにきているメイドたちのたくましさや自由さにひかれ人生の楽しみに気づくという側面の方がメインだったように思います。

でもメイドたちにしてみれば彼は主人なのだから、そりゃチヤホヤされるし、居心地は悪くないよね、とも思う。現実逃避してるのを思いきり肯定した作品ですよねぇ。

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2013年5月27日 (月)

映画「ハッシュパピー バスタブ島の少女」

 

Beasts of the Southern Wild

アメリカ

2012

2013年4月公開

劇場鑑賞

今年のアカデミー賞で話題になっていた作品です。事前情報をほとんど入れずに鑑賞してみました。

舞台は巨大な堤防で守られた街の外側の湿地帯にある「バスタブ」と呼ばれるスラム地域。6歳の少女ハッシュパピーはいつも酒を飲んでいる父と二人で暮らしていた。あるとき、大嵐が湿地帯を襲い、バスタブは水に浸かってしまう。そして追い打ちをかけるように、バスタブに暮らす人々は難民収容所の病院へと送られてしまい・・・。

冒頭で花火を持ったハッシュパピーの映像に被せてタイトルが出るところなんかは幻想的でとても美しかったですね~。

派手さはないけれど、独特の力強さを持った作品だったと思います。ちょっと分かりづらい箇所も多かったですけど・・・。

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2013年5月 6日 (月)

映画「リンカーン弁護士」

リンカーン弁護士 [DVD]

the lincoln lawyer

アメリカ

2011

2012年7月公開

DVD鑑賞

法廷ものとしては久々に良い評判を沢山聞いた作品です。

主人公ミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)は愛車リンカーンの後部座席を事務所代わりに、ときには汚い手段をも厭わないやり方で敏腕弁護士として活躍していた。

あるとき、ミックは殺人の容疑をかけられている資産家の青年ルイス(ライアン・フィリップ)の弁護を引き受けるが、事件の真相を調べていくうちに衝撃の事実が発覚し・・・。

前評判がかなり高かったので期待しすぎてしまったのかもしれませんが、思ったほど楽しむことができませんでした。

まず、肝心のリンカーンをオフィスに仕事をしてる場面がほとんど描かれないのでタイトルの意味が分かりづらい。あと、冒頭がごちゃごちゃしてて、とにかく何が起きているのかが分かりづらかったです。本編に入る前に、もう少し「リンカーン弁護士」としての働きっぷりを見せながらの分かりやすい導入があったら入り込みやすかったかなぁと。

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2013年5月 5日 (日)

映画「偽りなき者」

 

Jagten

デンマーク

2012

2013年3月公開

劇場鑑賞

地味ながらも見応えのある1本です。

ある日、幼稚園で働くルーカスは、勤務先の幼稚園で親友テオの娘クララからキスをされ、ハートの形の贈り物をもらうが、ルーカスはそれを本当に好きな人にあげるようにと優しく注意をする。その日の夕方、落ち込むクララを心配した園長が声をかけると、クララは兄とその友人に見せられたポルノを思い出し、その意味も分からずルーカスがクララに性的な行為を行ったかのようなことをほのめかしてしまう。幼いクララの口から出た言葉は瞬く間に町中へと広がり、優しかった住人達はルーカスを避けるようになっていき・・・。

いやー、これは辛い映画でした。子どもは純真で嘘なんかつかないってのが前提にあるんだろうけど、ブレーキのきかなくなった猜疑心ってのは怖い。てか、クララの兄は自分たちの行為が原因の一端をなしているんだから、ちょっとくらい気づけよ!とか思ってしまいます。

あと、1人でパニックになって騒ぎすぎる園長も、立場を考えてもう少し慎重にものごとを見て欲しかったなぁと。

もう親友ももうちょっと信じてあげてよ!とか。

とにかく一度疑いの目が向けられると、それまでどんなに良好な関係を築いていても、その人物を信じられなくなってしまう怖さがこれでもかってくらいに描かれる作品でした。

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2013年5月 2日 (木)

映画「アルゴ」

アルゴブルーレイ&DVD (2枚組)(初回限定版) [Blu-ray]

Argo

アメリカ

2012

2012年10月公開

DVD鑑賞

アカデミー賞の作品賞作品が絶好のタイミングでDVDリリースされたので見てみました。劇場公開時は気にはなってたけれど、地味な印象があってちょっと避けてしまってたんですよね。

1979年、イランのアメリカ大使館が占拠され、なんとか抜け出しカナダ大使館に身を寄せている6人の外交官たちを救出するためCIAが映画撮影と称してイランに入国したという実話を映画化。

確かに面白かったのだけれど、自分がなんとなく感じていた印象はやっぱり正しくて、そこまでハマれなかったかなぁ。実話だからこその面白さにあふれてはいたけれど、実話だからこその地味さがあって、特に大きな盛り上がりもなく終わってしまったように感じてしまいました。

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2013年4月 8日 (月)

映画「メリダとおそろしの森」

メリダとおそろしの森 [DVD]

Brave

アメリカ

2012

2012年7月公開

DVD鑑賞

ピクサー作品はどれも好きで、いつも劇場鑑賞してたのに、なんとなく気が乗らずにスルーしてしまっていた作品。アカデミー賞をきっかけにDVDで観てみました。

舞台は1000年前のスコットランド。王女として育ったメリダは弓の名手で自立心のある少女。あるとき、3人の領主とその息子たちが城に呼ばれ、息子たちの中で勝った者がメリダの夫となる競技会が開かれることになる。このような形での結婚を望まないメリダは自らが競技会に参加し、優勝してしまう。

王妃としての自覚を持つよう母に諭されたメリダは口論の末、母の大切にしていた家族を描いたタペストリーを破いてしまう。城を飛び出して森の中へやってきたメリダはそこで不思議な魔女と出会い、母と和解するための魔法の薬を手に入れるのだが、それを口にした母はクマへと姿を変えてしまう。

かつて凶暴なクマと戦い負傷した父は、それ以来全てのクマを憎んでおり、メリダと母は父に見つからぬよう城を抜け出し、魔法を解くための旅に出るのだが・・・。

うーん、自分のピクサーランキングではワースト2かなぁ。色々と物足りなかったです。そもそも、クマに変身して元の姿に戻るために旅をするってのがディズニー作品として二番煎じだというのも気になってしまったし。

ただネタが過去作と被ってるってのを無視しても、気になるところが多かったのですよね。

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2013年3月26日 (火)

映画「ジャンゴ 繋がれざる者」

ジャンゴ 繋がれざる者(監督:クエンティン・タランティーノ 主演:ジェイミー・フォックス、 クリストフ・ワルツ) [DVD]

Django unchained

アメリカ

2012

2013年3月公開

劇場鑑賞

過剰に血しぶきが舞う作品が苦手なこともあってタランティーノ作品はどちらかというと得意ではないのですが(そもそもほとんど観てない)、今回はストーリーが面白そうだったので思い切って観てみることにしました。

舞台は南北戦争前のアメリカ南部。元歯科医の賞金稼ぎキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)は狙っているヤマの素顔を知っている奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を連れ一仕事を終える。その後、シュルツはジャンゴに銃の手ほどきをし、二人はコンビで大活躍をする。

やがてジャンゴとシュルツは離れ離れになってしまった妻の居場所を見つけだし、シュルツと共に農園の領主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のもとへと向かうのだが・・・。

うーん、バンバンやるとこの過剰な血演出はやっぱり苦手でした。最後の方とか薄目で観てたよ・・・。好きな人はここで爽快感を得られるのだろうけど、自分のかすり傷でさえ直視できない自分は案の定気持ち悪くなってしまいました。

レトロな感じの作り方や映像の雰囲気はかなり好きだし、結構長い作品だったのに全く飽きさせなかったのは良かったのだけれど、冷静に考えてみると、軽さが目立ってしまって最終的には物足りない部分のほうが多かったかなぁ。そういう映画なのかもしれないけど。

この映画自体はつまらなくはなかったし、結構楽しんで観てたのだけれど、感想を書いてたら割と辛口になってしまいました・・・。

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2013年3月10日 (日)

映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」

 

Life of Pi

アメリカ

2012

2013年1月公開

劇場鑑賞

世界中で大ベストセラーになった原作を映像化した話題作。原作を読んだときにそのような印象が全くなかったのに、映像美が話題になっていることが気になったので、3D鑑賞しようと劇場へ行ってきました。

主人公"パイ"・パテル(スラージ・シャルマ)はインドで動物園を経営する父のもとに生まれ、彼が16歳の時に一家はカナダへ移住することになる。動物たちを連れて日本の貨物船に乗っていたところ、太平洋上で嵐に遭遇し、そのとき偶然デッキに出ていたパイは1人救命ボートに投げ出され、シマウマ、オランウータン、ハイエナ、トラと共に太平洋上を漂流することになってしまう。

物語はかなり原作に忠実。序盤の漂流し始めるまでが割合長くてちょいと退屈なとこもそのままです。主人公の宗教観など作品全体につながる少年時代の重要なエピソードが提示されるとはいえ、トラと漂流する話だと思って見にくると、なかなか本題が始まらないから意表をつかされます。ちなみに原作も漂流する前にリタイアしそうでした。

そんなわけで原作にかなり忠実な映画だったのですが、それにもかかわらず非常に魅力あふれる映像の連続だったかとにはかなり驚かされました。鑑賞前に、この作品は映像が美しいというのを耳にしてはいたけれど、原作には全くそのイメージがなかったので、これには本当にやられました。アカデミー賞で監督賞を受賞したのも納得です。

この原作、10年くらい前はどこの洋書売り場でも平積みになっていたし、実際に全世界で700万部(アマゾンさんのkindle版のページ参照)以上売れた作品で、「みんなが知っているあの物語がついに映画化」という側面も大きかったと思います。しかも、この作品はラストのどんでん返しが非常に印象的な作品なだけに、そこをネタバレした状態で観る人も少なくないことを考えると、映像化のハードルは高かったはずですが、アン・リー監督はそこを見事にクリアしたのではないでしょうか。

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2013年3月 6日 (水)

映画「王になった男」

 

광해, 왕이 된 남자

韓国

2012

2013年2月公開

劇場鑑賞

面白いという評判をよく耳にするので観に行ってきました。韓国の映画って面白い時の当たり率がやたらと高いのが多いように思います。

1616年、李氏朝鮮の第15代国王・光海君(イ・ビョンホン)は暗殺を恐れるあまり疑心暗鬼になり暴君と化していた。あるとき、国王は自分に瓜二つの道化師ハソン(イ・ビョンホン、二役)を影武者にしようと呼び寄せるが、その直後に国王が倒れてしまい、ハソンは急遽王の代わりとして表舞台に出ることになってしまう。慣れない宮廷生活に戸惑いながらも、ハソンは次第に政治のあり方に疑問を抱きはじめ・・・。

自分は東洋の歴史モノがあまり得意ではないのですが、それでもこの作品はなかなか面白かったです。主人公が宮廷の外からやってきた道化師という設定なので、宮廷のあり方や当時の政治情勢をハソンと一緒に学びながら物語が進むという形だったのも見やすかったですね。

これは国王やら道化やらっていうよりも、とにかく家臣がカッコイイ映画で、終盤は彼らの熱い生きざまに胸が熱くなり思わず涙が出てしまうくらいに良かったですよ。特に、ト部将は中盤の展開で最後の行動がある程度読めていたにも関わらず、あまりのカッコよさにしびれてしまいました。

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